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=== Assistant: 結論だけ先に言うと、 === 結論だけ先に言うと、 * 日本みたいに「受診のたびに本人が端末の前で顔認証 or 暗証番号入力する」のを全国レベルで義務に近い形で押し出している国は、かなり少数派 * 多くの国では - 通常の受診:カードを出すだけ/受付が番号入力するだけ - 顔認証やPIN:オンラインで診療情報を見るとき・特別な手続きのときだけ という二段構えにしていて、「高齢者がPINや顔認証でつまずく問題」がここまで表面化していません。 日本の状況との対比も含めて、いくつか国別に整理します。 ==== 1. 日本:受診時に「顔 or PIN」が前提になっている特殊ケース ==== 日本のマイナ保険証の場合: * 医療機関や薬局の端末にマイナンバーカードを差し込み、 「顔認証」か「4桁の暗証番号」 のどちらかで本人確認を行う手順になっています。デジタル庁<ref>{{cite web|title=デジタル庁|url=https://www.digital.go.jp/en/policies/mynumber/insurance-card|publisher=digital.go.jp|access-date=2025-12-05}}</ref> * 高齢者を中心に、顔認証のやり方やPIN入力に不慣れな人が多く、 「カードは持っているけど使わない/使えない」という例が少なくないと報じられています。The Japan Times<ref>{{cite web|title=The Japan Times|url=https://www.japantimes.co.jp/news/2025/08/20/japan/science-health/my-number-health-insurance-cards/|publisher=The Japan Times|date=2025-08-20|access-date=2025-12-05}}</ref> つまり、日本は : ● 基本的な保険資格確認の場面自体に、強い電子本人認証(顔 or PIN)を組み込んでしまった のが特徴で、この設計がそのまま「普及のハードル」になっている、という構図です。 ==== 2. ドイツ:eGK の PIN は「高度な機能専用」 ==== ドイツの電子健康保険証(eGK)はIC付きカードですが: * ふつうの受診や薬局での利用では、 カードを出してリーダーに通すだけでOK。 日常的な受診には PINは不要 と明記されています。BKK W&F<ref>{{cite web|title=BKK W&F|url=https://www.bkk-wf.de/en/support/electronic-health-card-egk/|publisher=BKK W&F|access-date=2025-12-05}}</ref> * 逆に、電子カルテ(ePA)や詳細な薬剤情報など、 「機密性の高いデータ」へアクセスする場合だけ PIN が必要。Gesundheitsportal<ref>{{cite web|title=Gesundheitsportal|url=https://gesund.bund.de/en/the-electronic-medical-data-card|publisher=gesund.bund.de|access-date=2025-12-05}}</ref> → 患者が「画面の前に立って毎回PINを押す」ような場面はかなり限定的で、 「日常の受診フローにPINを持ち込まない」ことで高齢者のハードルを下げています。 ==== 3. フランス:物理カードは「カード出すだけ」、デジタル版だけバイオメトリック ==== フランスの Carte Vitale もICカードですが: * 従来の 物理カードはPINなし。病院や薬局でカードを渡すと、 受付がリーダーに通すだけで保険資格確認と請求処理が完了します。FrenchEntrée<ref>{{cite web|title=FrenchEntrée|url=https://www.frenchentree.com/living-in-france/healthcare/how-to-set-up-your-digital-carte-vitale-in-france-step-by-step/|publisher=frenchentree.com|access-date=2025-12-05}}</ref> * 2025年から、スマホアプリ版の 「デジタル Carte Vitale」 が全国展開され、 アプリ内のデジタルカードは スマホの生体認証(顔・指紋)などで保護 されています。サービス公共<ref>{{cite web|title=サービス公共|url=https://www.service-public.gouv.fr/particuliers/actualites/A18126?lang=en|publisher=service-public.gouv.fr|access-date=2025-12-05}}</ref> ここでのポイントは、 : 生体認証が必要なのは「スマホ上のデジタルカード」にアクセスするときだけ : : 従来のプラスチックのカードは使い続けられる という点で、「顔認証やPINがイヤなら物理カードを出せばいい」逃げ道があることです。 議論になっているのは、 * カード(物理/デジタル)の提示を薬局で厳格に義務化したことで、 カードを持っていない弱者が取り残されるのでは、という問題で、 認証操作の煩雑さ そのものは日本ほどの争点になっていません。Le Monde.fr<ref>{{cite web|title=Le Monde.fr|url=https://www.lemonde.fr/societe/article/2025/08/20/medicaments-la-carte-vitale-obligatoire-en-pharmacie-un-risque-pour-les-plus-precaires_6632170_3224.html|publisher=Le Monde.fr|date=2025-08-20|access-date=2025-12-05}}</ref> ==== 4. 台湾:NHIカードにPINはあるが、日常利用では「任意」 ==== 台湾の全民健康保険ICカード(健保卡)は: * 受診時にはこのカードを出すだけでよく、 別の身分証やPINを毎回求められる運用ではありません。衛生福利部<ref>{{cite web|title=衛生福利部|url=https://www.nhi.gov.tw/en/cp-22-03586-16-2.html|publisher=nhi.gov.tw|access-date=2025-12-05}}</ref> * カードには PIN機能(パスワード) があり、 PINを設定すると、基本情報以外の医療データを読むにはPINが必要になりますが、 これは 利用者が任意に設定する「プライバシー強化オプション」 という位置づけです。衛生福利部<ref>{{cite web|title=衛生福利部|url=https://www.nhi.gov.tw/en/cp-86-61f68-16-2.html|publisher=nhi.gov.tw|access-date=2025-12-05}}</ref> * オンラインサービスを使うには、事前に窓口でカードを「オンライン利用登録」し、パスワードを決めるなど、 多少ややこしいステップがありますが、これは 主にネット経由のサービス用。Forumosa<ref>{{cite web|title=Forumosa|url=https://tw.forumosa.com/t/nhi-card-online-use/225823|publisher=tw.forumosa.com|access-date=2025-12-05}}</ref> → つまり台湾も「高度なデータアクセス=PIN」「ふつうの受診=カードだけ」を明確に分けていて、 PINやパスワードが「保険証利用の前提条件」にはなっていません。 ==== 5. エストニアなど:PINありeID社会だが、医療だけの特殊問題ではない ==== エストニアは有名なeID社会で: * 国民IDカードに2つのPIN(認証用PIN1、署名用PIN2)があり、 あらゆる行政オンラインサービスでこのPINを使います。ウィキペディア<ref>{{cite web|title=ウィキペディア|url=https://en.wikipedia.org/wiki/Estonian_identity_card|publisher=en.wikipedia.org|access-date=2025-12-05}}</ref> * 医療もそのeIDインフラの一部に乗っているので、 元々「PIN入力に慣れている社会」 という前提で成り立っています。 とはいえ、 * 医療機関の窓口レベルでは、カードの提示+受付側システムでの処理が中心で、 患者が端末前で毎回「本人認証儀式」をこなす、という設計ではありません。Public Health<ref>{{cite web|title=Public Health|url=https://health.ec.europa.eu/document/download/81abe5cb-fe1e-4c9a-b762-84c49639cf4e_en|publisher=Public Health|access-date=2025-12-05}}</ref> 問題があるとすれば「そもそもデジタル弱者がeID全般を使いこなせない」という、 医療に限らない デジタル・デバイドの話 に近いです。 ==== 6. オーストラリア等:デジタルは生体認証でも、「物理カード」が残る ==== オーストラリアの場合: * 従来からある プラスチックの Medicare card はそのまま有効で、 受診時はこのカードを出せばOK。ニュース.com.au<ref>{{cite web|title=ニュース.com.au|url=https://www.news.com.au/lifestyle/health/major-overhaul-of-medicare-makes-it-easier-for-aussies-to-access-digital-services/news-story/c5c833568dc7ccad6b4788753f79aa46|publisher=news.com.au|access-date=2025-12-05}}</ref> * 2025年にかけて、myGovアプリにデジタルMedicareカードが統合され、 アプリへのログインやデジタルID利用では PINや指紋・顔認証 を使う流れになっています。Services Australia<ref>{{cite web|title=Services Australia|url=https://www.servicesaustralia.gov.au/how-to-access-your-digital-medicare-card?context=21796|publisher=Services Australia|access-date=2025-12-05}}</ref> これもフランスと同様、 : 「オンライン手続き・スマホ利用は強い認証」 : 「嫌なら従来の物理カードで受診できる」 という二本立てなので、「顔認証がイヤで医者にかかれない」という状況にはなりにくいです。 ==== 7. 共通する傾向と、日本との違い ==== ざっくり世界の流れをまとめると: # 日常の受診フローには、なるべく認証操作を持ち込まない - ドイツ:eGK提示だけ、PINは高度な機能用。BKK W&F<ref>{{cite web|title=BKK W&F|url=https://www.bkk-wf.de/en/support/electronic-health-card-egk/|publisher=BKK W&F|access-date=2025-12-05}}</ref> - 台湾:健保卡提示だけ、PINは詳細データ保護用。衛生福利部<ref>{{cite web|title=衛生福利部|url=https://www.nhi.gov.tw/en/cp-22-03586-16-2.html|publisher=nhi.gov.tw|access-date=2025-12-05}}</ref> - フランス・オーストラリア:物理カード利用時はPIN不要。 # 強い認証(PIN・生体認証)は、主に「オンラインサービス用」 - 電子カルテ閲覧、オンライン請求、デジタルIDアプリ、遠隔医療などでは スマホの指紋・顔認証やPINが普通に使われますが、 それは「便利な追加サービスを使いたい人向け」で、義務ではないことが多い。Secure Technology Alliance<ref>{{cite web|title=Secure Technology Alliance|url=https://www.securetechalliance.org/publications-smart-cards-and-biometrics-in-healthcare-identity-applications/|publisher=Secure Technology Alliance|access-date=2025-12-05}}</ref> # デジタル弱者への配慮として、アナログな代替を残す - 物理カード、紙の証明書、口頭確認など、「認証が苦手でも最低限の受診はできる」経路を維持している国が多いです。NBR<ref>{{cite web|title=NBR|url=https://www.nbr.org/wp-content/uploads/pdfs/programs/Taiwan-Health-Card.pdf|publisher=nbr.org|access-date=2025-12-05}}</ref> これに対して日本は、 : マイナンバーカードという「汎用IDカード」を : 「保険証」としても使おうとしている : : その際に 本人認証(顔orPIN)を、日常の保険資格確認に直結させてしまった : : しかも従来の保険証は原則廃止の方向で逃げ道が少ない : Japan Reference : +2 : デジタル庁 : +2 という設計なので、 他国では「オンライン好きな人だけが使う強認証」が、 日本では「病院に行くための通行儀礼」になってしまい、 高齢者・デジタル弱者にとって特に大きな障壁 として現れている、という違いがあります。 ==== まとめ ==== * 顔認証やPINそのものは、世界的にも医療のデジタル化でどんどん使われています。 * ただし 「日常の受診にまで必須にするかどうか」 という点では、 多くの国は慎重で、「カード提示だけで済むルート」をちゃんと残しています。 * 日本のように、 - 受診時に本人が端末操作(顔 or PIN)を求められ - かつ従来の保険証を段階的に廃止 という組み合わせで全国展開している例はあまりなく、 その分だけ「マイナ保険証だけ極端に普及しない/嫌がられる」という現象が目立っている、 という位置づけだと考えてよさそうです。
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